朝日工業社RESEARCH

研究内容

人工光型植物栽培施設

人工光型植物栽培施設

人工光型植物栽培施設

 当社はアグリ分野に対し、植物工場に関する研究を同業他社に先駆けて1996年から本格的に取り組んでおり、これまで種子保管庫、発芽・育苗用植物環境装置、太陽光併用型植物工場、完全制御型植物工場、米倉庫など、種子から収穫、保管までのあらゆる段階における植物栽培環境の最適空調システムの技術開発を進めてきました。特に植物工場は、施設内における高度な環境制御と育成予測を行うことにより、野菜などの植物を周年で計画的に生産することができる施設であり、雑菌や害虫などが入りにくく無農薬栽培も可能であるため、食の安全・安心や安定供給における解決手段として、注目されています。
 医薬・健康の分野における特定患者向けのメディカルフード、薬用植物、医薬原材料などの高機能・高付加価値植物の栽培への植物工場の活用が期待されており、当社はこれまで蓄積した技術と経験を活かして、遺伝子組換え植物や高付加価値植物の研究開発に取り組んでいます。


取り組み事例

新規低コスト完全人工光型栽培装置の開発

 植物工場では、従来の露地栽培と比べてエネルギーコストが高いことが課題として挙げられます。その対策として、農業界と経済界が連携した生産性向上モデル農業の確立に向けた取り組みが行われており、当社は、農林水産省による「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」(平成27年から3年間の計画)に参画しました。この事業では、機能性野菜栽培および苗生産が可能な低コストかつ屋外設置可能な完全人工光型栽培装置の開発を目的とし、ベルグアース(株)、日鉄鋼板(株)、ツジコー(株)およびデザイナーフーズ(株)とコンソーシアムを形成し、各社の保有技術に当社の効率的な空調システムを組み合わせることで、低コスト型植物工場を構築しました。


新規低コスト完全人工光型栽培装置の実証プラント内部の様子

コメ型経口ワクチンMucoRice(ムコライス)の開発

コメ型経口ワクチンとは?

 「コレラ」は、コレラ菌が原因で発生する病気で、高熱、激しい下痢、嘔吐などの症状があります。WHO(世界保健機関)の統計では、年間10~12万人もの人々がコレラによって亡くなり、世界で14億人ほどが感染の危険にさらされていると推定されています。このように、発展途上国では今なお深刻な感染症であるコレラを、現在開発中のコメ型経口ワクチンを飲むことで防ぐことができると期待されています。


「コレラ」を予防するムコライス

MucoRiceのメリット

コメ型経口ワクチンは、以下のコメの特徴を利用しています。
(1)保存に冷蔵庫が必要ない
(2)口から食べる(飲む)ことができる

このコメの特徴がすなわち大きなメリットでもあります。まず「保存に冷蔵庫が必要ない」ということは、常温でさまざまな場所に、例えば電気が満足に通っておらず、冷蔵設備もない地域へも届けることを可能にします。また、経口で投与できることで、注射器が不要になり、医療廃棄物も出ず、小さな子供にも簡単に投与できるようになります。ムコライスはこのような方法で、人類の健康に貢献することを目指しています。

求められる製造環境

一般的な薬やワクチンと異なり、コメ型経口ワクチンは、お米を栽培し、収穫するという一見農業に似た特殊なプロセスを経て作られます。この特殊な製造方法の中でポイントとなる管理方法の概略を以下に示します。
(1)医薬品原材料を製造(栽培)している
→外界からごみ・ホコリ・昆虫の侵入を防ぐ
(2)遺伝子組換え植物を栽培している
→花粉・植物体を外界に漏らさない

このような管理を実現するために、ムコライス栽培・製造設備は空調系統・排水系統にそれぞれHEPAフィルタ、全自動排水滅菌器を備えています。

水田での米作りとはちょっと違う

 この設備での栽培方法は水田とは大きく異なり、完全人工光(照明ランプで)かつ、水耕栽培(土を使わない)です。約120日かけて播種、育苗、栽培を行っています。そして、研究により新しく見出された事実を確実にシステムに反映することで、さらなる技術の向上、発展に努めています。


朝日工業社のこれから

 コメからワクチンを作り出す、その背景には農学を基礎とした植物生育技術、工学に基づいた栽培環境創造技術、そして医学・薬学の分野から持ち寄られた、病気に立ち向かうための免疫、医療の知識が融合しています。研究と医療現場をムコライスでつなぎ、遠い国で人の命を救う、そんな明るい夢に向かい、当社は持てる技術により、社会に貢献できるように取り組んでいきます。


施工事例

名張シティファーム

 飲食店を運営されている(株)晃商様は、「食材の安全や安定供給」、「天気に左右されずに安定して野菜をつくる」という想いを実現するために、三重県名張市に大型の植物工場「名張シティファーム」を建設され、当社はこの植物工場の設備工事に参画させていただきました。LED照明を使用した屋内型水耕栽培施設では日本最大の規模を誇り、15,000株/日の量産能力を備えた工場では、今後、多種多様な葉菜生産が予定されています。当社は、植物工場における植物の生育に影響を及ぼす気流や温湿度等のさまざまな要因をシミュレーション解析し、空調および換気に関する快適な育成空間のご提案をさせていただきました。


名張シティファーム

閉鎖型医薬品用イネ栽培システムユニット

東京大学医科学研究所に納入いたしました。
・組換えイネ栽培施設
・拡散防止技術
・カルタヘナ対応

多段式栽培ユニット

千葉大学園芸学部完全人工光型植物工場改修機械設備工事に伴い開発・納入いたしました。
・研究用栽培ラック
・一方向気流
・照明器具昇降機能
・多様な照明に対応

環境制御装置

タキイ種苗㈱品質管理センター新築工事に伴い開発・納入いたしました。
・品質評価用栽培装置
・一方向気流
・スクリーンにより照明負荷の影響低減

計画・設計・構築および環境改善をお手伝いします


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