朝日工業社SUSTAINABILITY

事例紹介02

事例紹介02

ホテル・旅館業の厨房における脱炭素化、作業環境の改善、食品ロスの解消につながる「ハイブリッド厨房」の実証実験への参画

ホテル・旅館業においてエネルギー消費量が大きい設備の一つとして厨房が挙げられます。厨房での加熱調理には主にガスコンロが使用されていますが、エネルギー消費量の実態が不明瞭であり、また厨房内の温度上昇による作業負荷が懸念されており、近年、一般家庭でもよく使用されるIHコンロを複合的に利用した「ハイブリッド厨房」が注目されています。この「ハイブリッド厨房」の実証実験を公益社団法人国際観光施設協会様と一般社団法人日本旅館協会様が共催することになり、当社も参画しました。

①実証実験の概要

旅館の料理長をお招きし、ガスコンロ、IHコンロ、多機能調理器の3機種を使用して、実際に煮物、炒め物、炊合せを調理する過程でのエネルギー消費量のリアルタイム計測、快適性を示すPMV環境測定、サーモカメラによる撮影を行い、(1)調理時間、(2)ガスと電気の消費エネルギー、(3)CO₂排出量、(4)温熱環境、(5)試食の5項目のデータを取得しました。

※PMV(予想平均温冷感申告)とは、温冷感を決定する気温・湿度・風速・熱放射に加えて、作業状態・着衣状態も考慮した人が感じる温冷感の指標であり、7 段階(+3:暑い、+2:暖かい、+1:やや暖かい、0:どちらでもない、-1:やや涼しい、-2:涼しい、-3:寒い)に分けられます。

②実証実験の結果と今後の展開

実験結果の主な一例として、IHコンロのCO₂排出量(換算値)はガスコンロの半分程度、さらにPMV環境測定による温熱環境もIHコンロのほうが優れており、またサーモカメラの画像により、ガスコンロは周囲に熱が広がっていくのに対して、IHコンロは鍋だけに熱が伝わっている様子がよく分かりました。
IHコンロはイニシャルコストが高く、全面的な導入は容易ではありませんが、調理時間の短縮と余分な熱を出さず比較的清潔に保つことができるメリットを最大限に活かすことで、利用客の面前で調理し、ジャストインタイムで料理を提供することができ、食品ロスの削減にもつながる可能性を秘めています。
「ハイブリッド厨房」の実用化に向けて、当社はこれからも技術的な面で協力していきます。

(公社)国際観光施設協会 エコ・小委員会様よりご提供

(公社)国際観光施設協会 エコ・小委員会様よりご提供

「ハイブリッド厨房」の実用化により実現できること
  • 厨房におけるエネルギー消費量の低減(脱炭素化)
  • 調理時の作業負荷の軽減と作業効率の向上
  • ジャストインタイムでの料理の提供による食品ロスの解消

ガスコンロ使用時の調理人および鍋のサーモカメラ画像

ガスコンロ使用時の調理人および鍋のサーモカメラ画像

Hコンロ使用時の調理人および鍋のサーモカメラ画像

Hコンロ使用時の調理人および鍋のサーモカメラ画像

※カラーバーの温度範囲を調理人25~40℃、調理器具20~400℃で設定