朝日工業社SUSTAINABILITY

事例紹介05

事例紹介05

事例紹介~大空間の省エネを見極める~
大型倉庫における空調方式最適化評価技術の活用

森永乳業株式会社様は日本を代表する乳製品メーカーであり、牛乳類をはじめとしたさまざまな乳製品を製造・販売され、世界中の食卓に「健康と幸せ」、そしてかがやく“笑顔”を届けられています。今回、森永乳業様の製造拠点の一つである神戸工場において、資材・外包装を保管する大型倉庫の空調設備での省エネ化を提案してほしいとのご相談をいただいたことから、当社の有する空調方式の最適化評価技術を活用し、温度・気流・空気齢の各種シミュレーションおよび結果の解析を実施いたしました。

空気齢とは、窓や給気口などから室内に入ってきた空気が、一定地点に到達するまでにかかる時間のことで、室内の換気の状況を表すために用いられます。室内に給気される風量が多くなれば新鮮な空気が早く到達するため空気齢が短くなり、空気が新鮮であることを表しています。一方で、給気される風量を多くすれば、それだけ必要となる電力量も増えることになります。
今回は夏季冷房使用時において給気風量別に3パターンに分けて空気齢のシミュレーションを実施し、解析を行いました。

解析結果

空気齢シミュレーションの結果を解析したところ、室内に給気される風量を少なくするにつれて冷房運転による冷たい空気が沈み込み、室内下方では空気が循環しているのに対して、室内上方では空気が滞留し、空気齢が悪化していました(図2参照)。
このままでは省エネを実現できたとしても換気能力が足りず、倉庫内の空気環境の悪化を招くことになるため、さらに検討を進めた結果、室内に給気される風量を減らしたままでも既存の吹出口のサイズを調整することで吹き出す風速が増し、室内上方の空気を循環させる効果があることが判りました(図3参照)。これにより風量を現状から50%ほど削減することで、換気にかかる消費電力を当社計算上の数値としておよそ70%低減することが可能であると予測されています。
森永乳業様には、余剰な換気風量の削減による省エネ効果および吹出口サイズの変更による空気齢の改善効果をご報告し、今後省エネ化に向けてさらに具体的な対応策をご提案する計画となっています。